NPO法人 丹波みらい研究会

活動報告

シーラカンス

2010年11月9日(火)

京都新聞(丹波版) 「口丹随想」    〈 平成22年11月9日(火) 〉
「 琴滝のシーラカンス 」
NPO法人丹波みらい研究会顧問  湊  敏
NPO法人丹波みらい研究会が主催する「琴滝・冬ほたるイルミネーション」の準備作業が始まった。高さ43mの滝や周辺の遊歩道を発光ダイオード(LED)で彩る行事で、6年目を迎える。
「滝の水が流れてませんね」先月、琴滝での作業中に観光客に言われた。気になって、滝の上流にある「小滝池」と「大滝池」の様子を見に行った。
周囲が約200mの小滝池は満水に保たれていて安心した。毎冬のほたる開催時には小滝池の水栓を開き滝口に流しているのだ。その小滝池から300mほど坂道を登ったところに大滝池がある。小滝池には観光客もよく訪れるが大滝池まで行く人は少ない。実は私も足を運んだことがなかった。地元でも大滝池を知る人は珍しく、謎めいた幻の湖のように思えた。
インターネットで大滝池の形や位置を確認した。昨年、丹波みらい研究会が実施した地質研修で琴滝は3億年前に海底から隆起した「チャート」という岩石の塊と教えられたこともあって大滝池がある生物の形に見えた。同じ3億年前に生息したとされるシーラカンスである。
池の先端が頭のように膨らみ縦長の端が尾びれのように映る。入りくんだ二つの入り江はヒレに見える。シーラカンスは恐竜とともに絶滅した古代魚だと思われていたが生きたまま捕獲され「生きている化石」と呼ばれる。海だけでなく、川や湖など淡水に生息していた種類もあるという。だとすれば大滝池には池の形と同じシーラカンスが生息していたかもしれない。ひょっとすると今も・・・そんな想像を広げながら、後日、須知山林組合の方に道案内をお願いして大滝池に出掛けたのである。
縦約400m、幅約150mの池の周りをクマよけの鈴を鳴らしながら40分かけて歩いた。江戸時代に平助さんという人が住む小屋があったと伝わる平助谷を越え、ハンノキが群生する浮島や渓流に目をやりながら手つかずの原生林を歩いた。
大正時代に築かれた堤防から大滝池を眺めつつ、命のたくましさを秘めた「シーラカンス」に京丹波の未来を重ね合わせた。
今年の琴滝・冬ほたるイルミネーションは12月10日に開幕する。大滝池から放水された水が小滝池を経て琴滝に流れ落ちる。漆黒の夜にシーラカンスがはき出した森の水が、来場者の頭上に届くと思うと、琴滝を見る目も変わる。10万球増やして55万球になるLEDの輝きとともにシーラカンスが人々の心を照らすことができれば幸いである。


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